スペシャル対談 ものづくりを考える VOL.2

今回の対談では、創業してから商業印刷に特化してこられた「伊藤バインダリー」の伊藤社長に、ゼロから自社商品を作ることの大変さ、また「ものづくりコラボレーション」というプロジェクトへの参加から、世界へ商品を広めるまでのプロセスなどその時々の実体験と思いを語っていただきました。

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伊藤バインダリーが指し示す今後の方向性

工藤
今後、印刷や製本というのがなかなか厳しい状況の中、このメモ帳のプロジェクトを通じて、どういう方向性に会社を持って行こうと考えていますか?
伊藤
印刷会社様のお仕事というのは、これからも当社の基本となります。そして、紙媒体の市場というのは、主役となるネットの脇役になってしまっていると思いますが、そこに価値を求めるお客様もまだまだ多いと思うので、レベルを落とさずに、さらに紙媒体だからこそできる、難しい仕事を得意とする業態に近づけていきたいと思っています。そして、これらの商品が動くことで、コラボレーションをしたいという声も多くいただいているのでそういった方々へ「ITO BINDERY」ならではの商品を提案していけるようにしたいと思います。
工藤
本当に素晴らしいですよね。
伊藤
逆に工藤社長は、何かいろいろお考えですか。印刷以外に川上の部分というのは、すごく興味があるのでしょうか。
工藤
プロダクトに関し、興味がないというよりは、いま視界に入っていなくて、プロダクトを作るのは面白いとは思いますけど、うちは営業会社なんですね、簡単に言うと。あまり技術に立脚していないんですよ、精神が。要は、典型のデザイナーさんが言われるところの「文化」というものが、根底に流れているのは、技術の上にあるわけではなくて、営業的なところにあるんですね。営業的なところというのは、よく言うと顧客第一主義なのでお客様の作りたいものをしっかり作ると。自分たちでプロダクトを作るというのは、あまり考えたことがないかもしれないですね。
伊藤
デザインのほうからも、やられている印象がありますが。非常にいろいろなことができる可能性をお持ちだと感じます。当社の場合、制作の現場を持っていません。ただ、製本ができますというだけではいけないと考えていて、商品をきっかけにもっと視野を広げて、あまり縛られず取り組んで行きたいと思っています。
工藤
「ITO BINDERY」というブランドの文房具メーカーになれそうな気がする。
伊藤
まだまだです(笑)
工藤
普通にノートとか。
伊藤
ああ、なるほど。

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工藤
枠としては広がっていく感じになりますけど、昔からあるメモ帳とか、ノート、「書く」というものに対するこだわりというか、「書くものしか作りません」みたいな。でも、それはメモ帳であったり、ノートであったり、ものすごく大きい画用紙なのか、普通の人は絶対買わないだろうけど、何かそういういろいろなものが作れるような気がしますね。特注で、すごく大きいサイズを作ってほしいと言われませんか?
伊藤
言われます。海外だと、大きなデスクに革の下敷きみたいなものを使われる文化があるんですね。特大なものを作ってくれというお話もたまにあるし、最近は、コラボレーションしたいという企業さんが、自社のカタログを「ITO BINDERY」で作れないかと。
工藤
実際、どのサイズまで作れるものですか。
伊藤
過去に作ったことがあるのは、A3サイズのメモブロックです。
工藤
ECではなくて、店舗で売っている感じですか。
伊藤
そうです。当社のWebサイトでも商品は販売しています。ECサイトでは伝わりにくいのでしょうか価格帯も高いので簡単にECサイトではたくさんの数は買わないですね。お客様が店舗で手に取って書いて、納得して買っていただくケースが多いです。最近では、毎日いろいろな問い合わせをいただいていて、国内も海外も関係ないという意識はあります。朝メールを見ると、色々な国の方から問い合わせをいただいています。
工藤
いいですよね、グローバルで(笑)。
伊藤
これは、しようがないんですよね、たぶん。本当は国内のほうが楽なので、国内で売れるのが一番いいと思います(笑)。
工藤
「日本らしさ」というところを、日本人が通り過ぎてしまって、よく見えていないところが、海外の方には響いているとおっしゃいましたが……。
伊藤
そういうことだと思います。海外に出ているブランド、いろいろ業界が違うものでも、皆さん、基本的にシンプルですね。
工藤
製本より、こちらのほうがメインで動かれているような感じですか。
伊藤
いや、製本メインですね。頭の中では常に考えています、24時間(笑)。
工藤
事業的には全く違うというか、ほぼ……
伊藤
考え方はそうですね。お客様が全く違うので。
工藤
でも、社内的には、べつに2つ分けているわけではなく、皆さん一緒に両方やっていると。
伊藤
そうです。「きょうは、これを作るぞ」という感じです。5人の職人ですべてやっています。
工藤
海外は通訳の方と一緒に?
伊藤
パリでの展示会は現地在住の日本人アシスタントと一緒に組んでやっています。

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工藤
実際、商談の内容は多少はわかるようになってくる感じですか。
伊藤
フランス語は、僕は全然わからないので(笑)。基本は英語で行います。パリの展示会での来場者の半分は現地国フランス人ですが、他半数は欧州・北米・中東・アジア人など様々。彼らは皆、英語は堪能ですね。
工藤
グローバルなフィールドで、更なる展開が待ち受けているといった感じですね。さらなる「ITO BINDERY」さんの今後の飛躍を私自身も楽しみにしていたいと思います。
伊藤
はい、私自身も楽しみにしていきたいと思います。

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工藤
今日はいろいろとお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
伊藤
こちらこそ、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

対談を終えて

今回の対談では、伊藤社長のこれまでの経験を通じ、一つの商品を生み出すにも職人が持つ造形の技術力だけではなく、商品自体にコンセプトを持たせることの必要性、また流通に際してのマーケティングの重要性なども考えることが大切であると伺うことができました。良いものづくりをするということは、できないとされることにも挑戦することであり、発想を変えた観点で物事を見てみることが可能性を広げるチャンスになると教わったようにも感じます。同じ業界に立つ者として、伊藤社長の実体験を交えてのお話をお聞きすることができ、大変勉強になりました。今後の伊藤社長のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

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